food&wine/料理とお酒

Supe i Čorbe / スープ

Begova čorba(ベゴヴァ・チョルバ)/ 族長(ベグ)のスープ

ベゴヴァチョルバは、ボスニアとヘルツェゴヴィナの伝統的なオクラと鶏肉のスープです。

ベグ(ベゴヴァ)は、「族長」を意味するオスマン帝国時代の地方行政官の称号であり、ふんだんに使われた肉が支配階級の贅沢を象徴しています。これにパンとサラダを加えてメインメニューとすることもできます。

日本では整腸作用と豊富なビタミンで人気のオクラは、精力剤として知られているとか。現地のオクラは日本のものよりもサイズが小さく、乾燥したものを水やレモン水で戻して使用するそうです。

スープの味の土台は、タマネギ、ニンジン、セロリ(現地ではセロリアックの根の部分、日本ではセロリの茎で代用)を炒めたもの。そこにメインとなる肉やローリエなどのハーブを加えて煮込み、仕上げにヨーグルトやレモン果汁を加えてさっぱり仕上げます。

 

材料(8人分):ひまわり油50ml、鶏もも肉300g、牛肩肉200g、鶏ガラスープ1.5ℓ、タマネギ1個、ニンニク1片、ニンジン100g、セロリ50g、パセリ大匙1、ディル大さじ1、オクラ100g、ローリエ1枚、プレーンヨーグルト100ml、卵黄2個分、塩、胡椒、レモン1/2個分

寸胴鍋に油を熱し、煙がたつ直前に肉を入れて塩をふる。すべての面に焼き色がつくまで5分ほど炒め、ボウルに移しておく。同じ鍋にタマネギ、ニンニク、ニンジン、セロリのみじん切りを加え、10分ほど軽く火が入るまで炒める。鍋に肉を戻し、鶏ガラスープを注ぎ、ローリエ、塩、黒胡椒を加える。肉に火が通り、鶏が骨からはがれはじめるまで中火で煮る。5.オクラを加え、さらに5~10分煮る。レモン汁とお好みで塩を加える。火からおろし、少し冷ます。卵黄にヨーグルトを加えてよくかき混ぜ、スープに加える。イタリアンパセリ、ディルを振りかける。

Pasulj (パスリ)/ ベーコンと豆のスープ

 セルビアには"prosto kao pasulj" 「パスリのように簡単だ」という慣用句があるほど、旧ユーゴスラヴィア地域で愛されるベーコンと豆のスープです。軍隊で大量に大鍋で仕込まれる代表的な料理でもあることから「戦士のスープ」とも呼ばれるそうです。宗教的に肉食が禁じられている時期には豆と野菜のみで。たいていはベーコンやハムなどの燻製肉とともに煮込み、プレブラナッツ(ベイクドビーンズ)と並ぶ冬の豆料理の代表です。

概して食材について日本人は細かく、バルカン人は大らか。魚は「川魚」か「海魚」の指定で、日本人は「せめて赤身か白身か教えて!」となり、強力粉も薄力粉も「どちらでもいい」と言われても、我々は「どっちかに決めて!」とパニックになる(笑) このスープの豆は「白ければ何でもいい」。でも、ブチが入っていたり、虎シマのようのも許容範囲らしい。いろいろ試し、現在セルビアンナイトでは「手亡インゲン豆」を使用していますが、ご家庭で手軽に作るには、あらかじめ茹でてある缶詰でもいいと思います。

 

材料:白い豆、ベーコン、スモークソーセージ、ニンジン、パセリ、タマネギ、ニンニク(みじん切り)、パプリカパウダー、ローリエ、塩胡椒、植物油またはラード

豆を2時間以上水に漬けてもどす(乾燥豆を使う場合)。鍋に油をひき、食べやすい大きさにした肉と野菜、ニンニクを炒め、火が通ったら豆とスパイス、調味料を加える。たっぷりの水を加え(ここがポイント!途中でつぎ足すと味が落ちるので、たっぷりと)、2時間以上煮込む。缶詰を使う場合は時短できます。水の量も加減してくださいね。

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いくつか持っているレシピのなかで、パプリカパウダーを使わず豆と肉の旨みを生かすタイプを私的に「白パスリ」と区別していますが、「白」もまた滋味が豊かです。

Riblja čorba(リブリャ・チョルバ) / 魚のスープ

セルビアのスープには、しゃばしゃばの”ズッパ”、具だくさんの”チョールバ”の2種類があります。このピリ辛スープはセルビア語で「魚のスープ」という意味で”チョルバ”のほう。

山国のセルビアではありますが、ヨーロッパ10か国を東西に横切るドナウ川の川幅が一番広くなる地域。毎年レシピコンテストも行われるこのメニューは、川魚料理の代表的メニューのひとつです。

使う魚の種類は「なんでもいい」けれど、「1種類だけではなくできれば3種類以上混ぜて、アラを入れたほうが美味しいよ」とのこと。とはいえ、島国の日本では手に入れられる川魚の種類は限られます。試行錯誤の結果、白身のいわゆる「高級魚」よりも青魚のほうがハーブとの相性は良いようです。その時々で手に入る青魚の出汁を生かして仕込んでいます。

材料:

魚のあら 1kg、ひまわり油 60g、タマネギ 250g、人参1本、パセリ 1束、ニンニク 3片、ベイリーフ 2枚、ホットパプリカ 小さじ 1、スイートパプリカ 大さじ1、ヴェゲタ:大さじ 1、固形ブイヨン 1個、トマト 2個、ワインビネガー 大さじ1、白ワイン 100ml、塩、胡椒、ニンニク1片、刻みパセリ 大さじ2

作り方:

水に魚のあらを入れて強火で沸かし、 沸騰したら火を弱めて20分煮てスープをとる。魚のアラをザルにあげて冷まし、骨と皮をとりのぞいてほぐしておく。厚い深鍋にひまわり油をひいて、玉ねぎを透明になるまで炒める。ニンジン、パセリ、ベイリーフ、ニンニクを加え、10分炒め、必要ならば水を加える。魚のスープを3リットル加えてよくかき混ぜて沸騰させる。パプリカパウダー、ブイヨン、ヴェゲタ、トマト、ワインビネガーを加えて15分煮る。ほぐした魚のアラを加えてさらに15分煮て白ワインを加え、塩胡椒で味をととのえる。さらに3~4分煮て火を止め、ニンニク、パセリを加える。

 

Teleća čorba / 仔牛肉のシチュー

美食の国のセルビアでは当たり前に手に入るけれど、日本では高価な食材を贅沢に使用するため、メニューに載せることを諦めていた料理のひとつがこのシチュー。残念ながらオリジナルレシピの食材である、骨付き仔牛の首筋肉は手に入りませんでしたが、牛のステーキ用肩肉をぶつ切りにして、前日からことこと煮込み。仕上げにヨーグルトと卵で味を整えれば、思わずうなるひと皿です。

 

材料:牛肩肉(ステーキ用)、植物油、バター、タマネギ、ニンジン、セロリの茎、ローリエ、ヨーグルト、塩胡椒、薄力粉、卵黄、パセリ

野菜をみじん切りにする。植物油とバターでタマネギを透明になるまで炒める。牛肉を水から灰汁を取りながら一時間煮る。ニンジン、セロリ、ローリエ、炒めたタマネギを加えさらに30分煮こみ、塩胡椒で味を調える。小さなボウルでヨーグルト、卵黄、薄力粉少々を混ぜあわせ、少量のスープでのばす。よく混ぜ合わさったらスープに流しいれてとろみがつくまで温める(←味噌汁に味噌を溶かすイメージで)。パセリを散らし、蓋をして10分ほど蒸らしてから召し上がれ。

Krem čorba od Celera(クレーム・チョルバ・オド・セルラ) / セロリのクリームスープ

ポタージュといえば、ぱっと思い浮かぶ素材はじゃがいもやコーン、むらさきいも、かぼちゃ、といったところでしょうか。こちらのポタージュの主役は日本人には意外なセロリ。セロリはセルビアのスープやソースの土台となる味と香りを担う野菜のひとつで、「だしの素」的なハーブ調味料"Vegeta"や"Začin C"の香りにも使われています。第二次世界大戦中から没するまで35年間大統領つとめ、旧ユーゴスラビアに最も影響を与え、大食漢で美食家でもあったチトー大統領も好んだスープということです。

セルビアンナイトではリクエストの多い人気メニューで、冬は温かく、夏は濃厚に仕上げて冷製としてお出ししています。おおまかなレシピの基本はベシャメルソースと同じ。はじめに鍋でバターを鍋で際、タマネギとセロリを一緒に炒めて香りをつけます。野菜に火が通ったら小麦粉を加え、焦げないよう気をつけながらとろみをつけます。ダマにならないよう牛乳で伸ばし、火が通ったら荒熱をとり、ブレンダーやミキサーにかけてなめらかにします。塩胡椒で味をととのえ、お好みの濃さ水に加えてできあがり。盛り付けの際、オリーブオイルやレモンなどを垂らしてお召し上がりください。

Čorba od Tikvički(チョルバ・オド・ティクヴィツキ) / ズッキーニのポタージュ

バルカン半島でズッキーニはとても人気の食材です。日本のサイズよりも大振りなため、中をくり抜いて詰め物をしたり、縦にうすくスライスして具を巻き込んだり、横切りにして衣をつけたフライにしたり、様々な調理法で食卓にのぼります。ナスと同じように使われますが、現地ではナスよりも出番が多いそう。こちらのズッキーニのスープは、夏にお勧めのさっぱりとした味わい。皮をむくと白く、皮を残すとグリーンに仕上がります。仕上げたい色と味のバランスで、材料のニンジンとともに加減してみてくださいね。

 

材料:ズッキーニ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、生姜、ヴェゲタ、バター、塩胡椒、クリームチーズ、パセリ、オリーブオイル

材料をみじん切りにする。バターでタマネギを鍋で炒め、野菜と水、ヴェゲタを加えて20分ほど煮込む。ブレンダーでなめらかにする。塩胡椒で味を調える。器に盛り、クリームチーズを載せ、パセリとオリーブオイルを散らして召し上がれ。

Gulaš / グラーシュ

Goulash(グーラーシュ、またはグーヤーシュ)はハンガリーが発祥の肉と野菜をパプリカ風味で煮込んだ料理です。その歴史は牛飼い料理として9世紀まで遡り、現在では中央ヨーロッパを中心に他の地域でも広く好まれています。地域ごとにバリエーションを持ちセルビアではハンガリーに近い北部ヴォイヴォディナを中心に、牛や仔牛、豚また猪などの肉と野菜を半々の量で煮込み、パプリカとハーブで味付けで調理するのが主流です。ときにはトマトなどを隠し味に、甘めにすることもあるようです。旧ユーゴスラヴィア全域で食され、戦火のセルビアを、食をめぐるエピソードの聞き書きでつづった山崎佳代子著『パンと野いちご』内でもたびたび登場し、ボスニア出身の元日本代表監督オシム氏の得意料理でもあるそうです。セルビアンナイトでは、牛肉のスジや赤身など、いくつかの部位を交えてじっくり煮込んでお出ししています。

 

材料:牛肉、タマネギ、セロリの茎、トマト、ニンニク(みじん切り)、スイートパプリカ、ローリエ、タイム、植物油、塩胡椒

野菜を食べやすい大きさに切る。鍋に油をひき、タマネギを茶色くなるまで炒める。ニンニクを加えて軽く炒め、水を加えて煮込む。牛肉、セロリ、ローリエ、パプリカパウダー、塩胡椒を加え、弱火で2時間以上煮込む。火を止める前に刻んだトマトを加えて軽く煮込む。写真は2時間ほど煮込んだ時点のもの。加熱時間が長ければ長いほど材料が煮溶けて美味しくなる。

Pileći Paprikaš(ピレチ・パプリカシュ) / 鶏肉のパプリカシチュー

 Pileći paprikaš(ピレチ・パプリカシュ)は、ハンガリー発祥で、セルビアでは北部ボイボディナ地方で好まれています。骨付き(←ここ大事!)の鶏肉を、たっぷりの野菜とともに煮込み、骨からにじみでる出汁と野菜の旨みをゆっくり引き出しす滋味あふれるシチューです。セモリナ粉でつくるノクリツェという団子を入れると、sa noklicama(サ・ノクリカマ)がつき、 秋田の「きりたんぽ」や「だまこもち」のような鍋物感も漂います。珍しいけど、懐かしくもある。遠いセルビアに親しみを感じる料理のひとつ。

 

材料:手羽元、鶏もも肉、タマネギ、ニンジン、セロリの茎、パプリカ、ジャガイモ、トマトピューレ、ローリエ、ヴェゲタ、パプリカパウダー、塩胡椒、植物油、パセリ、薄力粉、セモリナ粉、卵、塩

野菜、鶏もも肉をひと口大に切る。鍋に油をひき、タマネギを炒め、ニンジン、セロリ、パプリカ、ローリエも加えてさらに炒める。鶏肉も加え、肉の表面に白く通ったらジャガイモ、ヴェゲタを加えて炒め、ひたひたに水を注ぎ、蓋をして煮込む。その間に団子生地をつくる。溶き卵に粉と塩をひとつまみ加え、ヤマトイモくらいの粘り気にする。野菜が柔らかくなったら、スープにトマトピューレを溶き、団子の生地をスプーンですくいながら浮かべる。団子がすこし膨らみながら固まって浮かんでくればできあがり。器に盛り、パセリを散らして召し上がれ。

 

Glavna Jela / 炭火焼きなど

Ćevapčići(チェヴァプチチ) or Ćevapi(チェヴァピ) / バルカンスタイルの肉団子

トルコで「ケバブ」は一般に「焼き肉」指しますが、旧ユーゴスラヴィア地域では、棒状に形作った肉団子を”チェヴァピ”とも呼ばれる”チェヴァプチッチ”と呼びます。トルコの「キョフテ」のバルカン半島バージョンと言えるでしょう。

例えていえば、お隣の大国で発祥の餃子が日本で愛されているようなイメージでしょうか。タマネギのみじん切りを添えてパンに挟んだものがストリートフードとして人気です。

レシピは地方や人によりさまざまで、北部の平原地帯では牛・豚の合挽き、山がちの南西部では羊が多く使われます。ハンバーグ型のプリェスカヴィツァと似ているとはいえ、まったく同じではつまらないので、プリェスカヴィツァを肉の旨味とニンニクでシンプルに、チェヴァピはそれよりもスパイシーに仕上げています。そのあたりの個々のこだわりを、食べて比べてみるのも楽しみのひとつ。

 

材料:合挽き肉630g(豚6:牛4)、ニンニク2片、卵白1/2個、重曹、塩、カイエンペッパー、胡椒、各小さじ1/2、パプリカパウダー小さじ1/4

材料をすべて合わせ、よく捏ねる。指ほどの大きさに成形したら、ひと晩寝かせる。翌日、真ん中にピンク色を残さないようしっかり焼く。

※肉そのものを味わう料理なので、挽き肉は赤身の多いものを。中心までしっかり火を通し、食中毒に気をつけてくださいね。

Pljeskavica / ピェスカヴィツア・プリェスカヴィツァ

ピェスカヴィツァは、ぱっと見は日本でもお馴染みのハンバーグですが、ひと口食べればまったく別モノ。見た目がとても似ているために、言葉だけでセルビアスタイルと、日本の味の違いをイメージしてもらうのがとても難しい料理です。しっくりとした日本語名が見つかればよいのですが。。。。

日本のハンバーグはひき肉にタマネギやパン粉、卵などをあわせて成型し、ナイフを入れると肉汁がじゅわっと流れ出すようにレア気味に焼き上げるのが定番。いっぽうのセルビアは、赤身の多い合挽肉につなぎを入れず、肉の旨をぎっしりに、しっかりと火を通して歯ごたえもみっちり、腹持ちもばっちり。特に有名なのは、レスコヴァッツ地方です。

さらさないタマネギのみじん切りが定番の付け合わせ。よりよい美味しさを求めて豚と牛の割合や、赤身と脂身のバランス、挽き具合を試行錯誤しています。

一人前が軽く200gはあり、パンに挟んだものが人気のストリートフードです。 

 

Leskovački Uštipci(レスコヴァツキ・ウシュテイプツィ) / レスコヴァッツ地方の肉だんご

セルビアで一番肉が美味しい地域といわれているレスコヴァツ地方の名のついた肉団子(Uštipci)は、チーズとベーコン入り。銘醸地の名物料理にふさわしく、赤ワインにとてもほくあいます。

Karađorđeva šnicla(カラジョルジェヴァ・シュニツラ) / カラジョルヴィッチ家のロールステーキ

“カラジョルジェヴァ・シュニッツラ”は1959年にチトー大統領の専属料理人であったミロヴァン・ストヤノヴィッチが考案し、セルビア王家のカラジョルジェ家の名をつけた代表的肉料理です。

肉は叩いて薄く伸ばした厚切りの牛肉または豚肉使うため、旨味たっぷり。カイマックという乳脂肪のフレッシュチーズやスモークミートを巻き込んで揚げます(中心部のチーズが溶け出さぬよう、本来は棒状で提供されますが写真はパーティのフィンガーフード用に、ひと口サイズに切り分けてあります)。

日本ではカイマックが入手困難なためクリームチーズで代用しています。

Ražnjići od Svinjskog Mesa(ラズニッツィ・オド・スヴィニスコグ・メサ) / 豚の串刺し

セルビアではラズニッチ、ギリシャではスブラキと呼ばれるバルカンで人気の串焼きです。

一見何ということのないBBQに見えますが、下味のマリネ液が醸すバルカンの薫り。

セルビアではパプリカパウダーやスパイス、ハーブとともに漬け込み、ビールやきりっと冷えた白ワインが欲しくなり、太陽を感じる一皿です。

Mesni rolat(メスニ・ロラト) / 肉のルーラード

セルビアのおもてなし料理には、うずまき状に巻き込んだり何層にも重ねて断面の美しさで魅せる技法があります。
この肉の”ルーラード”ほうれん草と卵を巻き込んだ人気のお祝い料理です。

Pijana riba iz Smedereva(ピャーナ・リバ・イズ・スメデレヴァ) / スメデレヴォ風魚のロースト

スメデレヴォ(Smederevo)地区は、セルビア屈指の白ワインの銘醸地。ヨーロッパ第2の長さを誇るドナウ川は、ドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)に端を発し、黒海に流れこんでいます。その川幅の一番広い箇所がセルビア。首都ベオグラードでサヴァ川と合流します。

山国のセルビアで魚料理といえば、このドナウ川で獲れる川魚が中心。このメニューは直訳すると「スメデレヴォ風酔っ払い魚」という名の通りワインをたぷっぷり振りかけて焼き上げるドナウ川岸の名物料理です。

現地では鯉やナマズを日本で手に入れるのは難しい。そして、肉と同様、魚も複数を組み合わせるのがセルビア流。

白身や赤身、いろいろな組み合わせを試してみましたが、ハーブやレモンに負けないよう、鯵や鯖など青魚を入れるのがお勧めです。

Kuvana Jela / 煮込み料理など

Mućkalica(ムチュカリッツァ) / 豚肉のパプリカ煮込み

「振り、かき混ぜ、混ぜる」という意味のムッチカティに由来するメニュー名は、意訳すれば「肉の”ごった煮”」。セルビア留学経験のある友人曰く「セルビアのすき焼き」。肉と野菜を煮込んだシチューなので後者のほうがぴったりきます。

ムチュカリツァも地方ごとにバリエーションがあり、セルビアで一番美味しいお肉を作る町として有名なレスコヴァツ地方のレシピが人気です。セルビアンナイトのレシピもレスコヴァッツ地方より。バーベキューの余り肉を使うことも多く、さまざまな動物の肉と部位の組み合せで複雑な味わいが生まれます。セルビアンナイトでは自家製ベーコンを用い、スパイシーに仕上げた人気の定番料理です。

 

材料(8人分):豚肩肉、ベーコン(塊のもの)あわせて800g、タマネギ3個、パプリカ4個、トマト500g、ニンニク2片、カイエンペッパー大さじ1、ヴェゲタ大さじ1、塩、胡椒、ひまわり油、パセリ1束

ひと口大に切った肉にヴェゲタと刻みパセリをまぶす。タマネギを刻んで塩をふりかえておく。角切りにしたベーコンと豚肉の表面に色がつくまで炒めてとりだし、その油でタマネギを透明になるまで炒める。少量の水を加え、パプリカ、ニンニク、角切りトマトも加えてさらに炒める。水分が蒸発したら肉とベーコンも加え、コップ1杯の水を加えて煮詰める。パプリカパウダー(またはカイエンペッパー)を加えて味見をし、必要ならば塩胡椒して味を調える。材料を土鍋に移し、250℃のオーブンで表面がパリっとするまで40分ほど焼く。


※ヴェゲタは旧ユーゴスラヴィア地域の「だしの素」のような調味料です。ないときは、野菜をしっかり炒めればOK。スパイシーにしたい場合は、パプリカパウダーをカイエンペッパーに替えるか、加減して加えてみて。

Sarma / サルマ

"サルマ"はバルカン半島の冬の定番料理。セルビアでは、このロールキャベツが上手にできようになると「сада се можеш удати(これでお嫁にいけるね」」と言うそうです。

地域や家庭によりさまざまなレシピがありますが、日本の一般的なレシピとの違いは、材料にキャベツに丸ごと発酵させたキャベツ(Kiseli Kupus)を使うことと、味付けにパプリカを使うこと、肉のつなぎがパン粉ではなく米であること、ひと口サイズであることなど。セルビアのバリエーションでも、調理方法は炒める油が植物性だったり、ラードだったり。肉を生のまま包んだり、炒めてからだったり。鍋で煮るやり方、オーブンで焼くやり方、煮てから焼くやり方、などなど、手をかけようと思えばいくらでもかけられる料理ですが、今回は比較的つくりやすいものを紹介します。

キャベツは塩漬けにより水分が抜け、繊維が柔らかくなっているため下茹での必要はありません。加熱で引き出される甘みと、乳酸発酵による酸味をあわせもつキャベツが、肉と、その旨味を吸い込んで柔らかくなった米を包み込み、滋味あふれる一品です。

 

材料:

発酵キャベツ、タマネギ(みじん切り)、合挽肉、米、卵、ベーコン(あれば塊のもの)、パプリカパウダー、ローリエ、ニンニク、油(植物油、またはラード)、塩胡椒

タマネギを炒め、冷ましておく。米はさっと水で洗いザルにあげておく。キャベツを1枚づつ丁寧にはがし、出来上がりがひと口サイズになるよう外側の葉は半分にカットする。固い外葉や小さな中央の葉は鍋に敷きこんだり、焼くときにかぶせる為にとっておく。塩気が強すぎると感じた場合は、水に漬けて塩抜きをする。挽き肉にタマネギ、米、卵、胡椒、パプリカパウダーをあわせ「たね」をつくる(キャベツから塩気が出るのでここには加えない)。キャベツの葉を広げてカレースプーン1杯ほどの量の「たね」を包み、巻き終わりの端を、たくし込む。鍋の底にキャベツの外葉を敷き、ロールキャベツを並べる。隙間にひと口大に切ったベーコン、ニンニク、ローリエを差し込む。ひたひたに水を注ぎ、弱火で2-3時間煮込む。塩気が足りなければ味をみて足す。

発酵キャベツの作り方はこちらをご覧ください。

Svadbarski Kupus(スヴァドバルスキ・クプス) / 10月のキャベツ(参列者のキャベツ)

Svadbarski kupus(スヴァドバルスキ・クプス)は、名前を覚えるのにとても時間がかかった料理。そして、文化的な背景の説明ぬきでは語れないセルビア西部(中央セルビアのシュマディヤ地方より西)の代表料理です。

名前の由来は、直訳すると「スヴァドバ=結婚式」「クプス=キャベツ」で「結婚式の(参列者の)キャベツ」。また「結婚式の」という形容詞「スヴァドバル」は10月の古い呼び名ということです。冬の食卓に欠かせない発酵キャベツは漬け込みに2か月ほどかかりますが、結婚式の集中する秋に間に合うよう、この料理では7-10日ほどで調理可能になる早漬けタイプが使われるそうです。

都市部では、より洗練された料理のサルマ(Sarma=ロールキャベツ)が好まれますが、こちらは典型的な郷土料理。田舎の結婚式では参列者が100-200名にもおよび、その胃袋を満たすため、子どもがすっぽりおさまるほどの大鍋で、キャベツと肉を終日煮込みます。調理方法は生のキャベツを使うスラダック(Sladak)と、ほとんど同じ。発酵による酸味と煮込みから生まれる本来の甘み。肉の旨味があいまった複雑な味わい。発酵臭にはじめは驚きますが、本場のアウトドア・クッキングでは漂うその香りも祝いの脇役でしょうか。時間をかければかけるほどよいセルビアン・スローフードの王様です。

 

材料:発酵キャベツ、豚肩肉、ベーコン(塊のもの)、タマネギ、ニンジン、ヴェゲタ、パセリ、塩胡椒

キャベツを1枚づつ丁寧にはがし、塩気が強すぎると感じた場合は、水に漬けて塩抜きをする。材料をひと口大に切る。深い鍋にキャベツの1/3量と肉の半量、野菜の半量を重ね入れ、ヴェゲタとパセリを振り入れる。キャベツ、肉、野菜の残りを同じように重ねヴェゲタとパセリを振り入れる。残りのキャベツで蓋をして、ひたひたに水を注ぎ、火にかける。沸騰したら弱火にして60分以上煮込む。味をみて足りないようだったら塩胡椒を足す。

※量が多い場合は、重ねる肉と野菜をの層を多くする。煮込めば煮込むほど美味しい。二日目はさらに味が馴染むので、前日に用意しておくこともできる。

発酵キャベツの作り方は、こちらをご覧ください。

Sladak kupus sa mesom(スラダック・クプス・サ・メソム) / キャベツと豚肉の煮込み

この料理は、酸味のある発酵キャベツ(Kiseli Kupus)を使ったスヴァドバルスキ・クプス(Svadbarski Kupusに対し、生のキャベツが使われるため、甘いキャベツ(Slatki kupus)を意味するSladak(スラダック)と呼ばれています。

つくり方もスバドヴァルスキ・クプスと同じように、豚かたまり肉とベーコンと野菜をことこと煮込んで、じっくり味を引き出します。料理の味は完全に異なり、スヴァドバルスキ・クプスは常にベーコンと豚肉を組み合わせて煮込みますが、仔羊や仔牛は決して使用しません。仔羊の肉には独特の味があり、スラダックはそれに適しています。ボリュームがあるので、パンとあわせてメイン料理にもすることも可能なひと皿。時間が料理を美味しくしてる、まさにセルビアらしい煮込みです。

 

材料:キャベツ、タマネギ、ニンジン、セロリの茎、豚肩肉、ベーコン(塊のもの)、塩胡椒、トマトジュース、トマトピューレ、パプリカパウダー、チリパウダー、イタリアンパセリ

タマネギをみじん切りにんする。残りの野菜、肉、ベーコンをひと口大に切る。鍋にキャベツの1/3量と肉の半量、タマネギを重ね入れる。キャベツ、肉、タマネギを同じように重ね、残りのキャベツで蓋をする。塩を加えてひたひたに水を注ぎ、火にかける。沸騰したら弱火にして45-60分煮込む。トマトジュース200mlと、トマトピューレ少々とスパイスを加え、さらに10分以上煮込む。皿に盛り、イタリアンパセリを散らして召し上がれ。

Podvarak sa Mesom(ポドヴァラク・サ・メソム) / 肉とサワーキャベツの炒め煮

ポドヴァラックは、バルカン半島から西欧にかけて好まれる、千切りの発酵キャベツをスパイスで香りづけして煮込んだ料理。フランスのアルザス地方のシュークルート、ドイツのザワークラウととてもよく似ています(おそらく親戚でしょう)。付け合わせとして、キャベツのみをざくざく食べる場合もありますが、ローリエやニンニクとともにベーコンやソーセージを加えるとテーブルの主役にもなります。材料を炒めたあとにオーブンで焼き、サワーキャベツに甘みと旨味を含めますが、植物油ではなくラードを使うのがお勧め。カロリーもそのぶんリッチになりますが、相性は絶妙です。

 

材料:発酵キャベツ、ベーコンやソーセージ、タマネギ、ラード、ローリエ、ヴェゲタ、スイートパプリカ、胡椒

キャベツを千切りにする(塩気が強すぎる場合は、水に漬けて塩抜きをする)。タマネギ、ニンニクを薄切り、ベーコンやソーセージを食べやすい大きさにカットする。鍋にラードをひき、タマネギとニンニクを炒める。キャベツと調味料を加え、途中で水を加えながらキャベツが柔らかくなるまで炒める。180℃に余熱したオーブンで30分ほど焼く。

サルマ(Sarma をつくる際、ロールキャベツ用にはサイズが大きすぎたり小さすぎる葉をポドヴァラク用にとっておくと、ひとつのキャベツで2種類の料理が楽しめます。

発酵キャベツの作り方は、こちらをご覧ください。

Punjene Parprike(プニェネ・パプリケ) / パプリカの肉詰め

ピーマンの肉詰め料理は世界の多くの地域で見られますが、バルカン半島では熟したパプリカを用います。ロールキャベツのSarmaと同様に「洋食」としては、まったく興味のなかったピーマンの肉詰め。Punjene Parprike(プニェネ・パプリケ)は、「パプリカの詰め物」という意味のセルビア/クロアチア語です。「ふぅん、よくあるやつね」と高を括っていたら甘かった。調理をはじめてびっくり。味にまた驚いた料理です。まだ食べたことがない人は、食べたほうがいいですよ! まずその大きさ。パプリカは小ぶりのリンゴくらいのサイズで、ピーマンよりも大きかった。しかも縦半分ではない。種をくり抜き丸ごと一つの空洞みちみちに肉を詰め込むゴージャスさ。パプリカが柔らかくなるまで煮込み、オーブンで余分な水分を飛ばして焼き上げると、パプリカと肉から染み出した旨味を、つなぎの米が吸いこんで、うまうま。マッシュポテトを付け合わせに召し上がれ。

 

材料:パプリカ、合挽肉、タマネギ、ニンニク、パプリカパウダー、塩胡椒

みじん切りにしたタマネギとニンニクを炒め、冷ましておく。米はさっと水で洗いザルにあげておく。パプリカの種をくり抜いておく。挽き肉にタマネギ、米、塩胡椒、パプリカパウダーをあわせ「たね」をつくり、パプリカの8分目までみっちり詰め込む。鍋にパプリカを並べ、ひたひたに水を注ぎ、弱火で1時間ほど煮込む。ときどきパプリカを寝かせて中に水分を含ませ、肉から出る旨味を煮汁に溶かしこむ。200℃に余熱したオーブンで20分加熱する。焦げそうであればアルミホイルで蓋をする。オーブンで焼くときに、パプリカの穴にスライスしたトマトで蓋をするのもお勧め。

※地域や家庭により詰め込む肉の種類や調理方法のバリエーションも様々で、ひたすら鍋で煮込む方法、煮込んだのちオーブンで焼く方法、最初から最後までオーブンで焼く方法もあるようです。

Sogan Dolma(ソガン・ドルマ) / タマネギの肉詰め

「ドルマ」は、トルコ語で「詰める」という意味で、さまざまな野菜に挽き肉を詰めるオスマン帝国発祥の調理法です。Sogan Dolma(ソガン・ドルマ)は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの都市、モスタルの名物です。「タマネギの詰め物」という名のとおり、丸ごと茹でて柔らかくしたタマネギをくり抜き、肉を詰めて蒸し焼きにした料理です。合挽肉をパプリカで風味づけをすることの多いセルビア地方に対し、ボスニア地方では、牛挽き肉、トマト風味が多くみられ、オスマン帝国文化の影響の強さを、食の面でも感じます。

 

材料:タマネギ、牛挽肉、米、卵、トマトペースト、スイートパプリカ、植物油、塩胡椒、レモン果汁、パセリ、サワークリーム

米を軽く洗いザルにあげておく。タマネギの皮をむき、丸ごと10分ほど茹でて柔らかくする。根に近いほうの部分を切り落とし、中の層を丁寧にくり抜く。ボウルに牛挽肉、米、卵、調味料を入れ、混ぜ合わせて「たね」をつくる。タマネギの中央に「たね」を詰め、深皿に並べ、ひたひたに水を注ぐ。220℃に余熱したオーブンで40分ほど焼く。皿に盛り、レモン果汁とパセリ、サワークリームを載せて召し上がれ。

※タマネギにより火の通り方が異なるので、加熱時間は目安です。「たね」から染み出す旨味で煮込むので、タマネギの穴は大きめにし、濃いめに味付ける。

 

Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ) / ベイクドビーンズ

Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ)は、旧ユーゴスラヴィア地方で農村の冬を乗り越える料理として何世代にもわたり受け継がれてきた伝統をもつひと皿です。

正教会ではクリスマスイブやイースター前に肉や卵、乳製品、油分の多い食事が禁じられており、このベイクドビーンズと魚料理がクリスマスイブの正式メニューです。

豆が主役のレシピです。タマネギとパプリカの旨味をふっくら含ませ、適度に焦げめをつけるにはコツがいります。品種はお好みですが、いまのところ大福豆がマイベストです。

 

材料(8人分):豆500g(白花豆、大福いんげん豆など)、長ネギ3本、タマネギ2個、パプリカパウダー30g、ヴェゲタ20g、ひまわり油200ml、塩、胡椒

豆をひと晩水につけて柔らかくする。豆をザルにあげ、鍋で15分ほど冷水からゆでる。水をかえ、指でつぶせるくらい柔らかくなるまで煮る。別の鍋にたっぷり油をひき、みじん切りにした長ネギ、タマネギを透明になるまで炒め、調味料を加えてさらに炒める。豆をザルにあげ、ゆで汁はとっておく。土鍋に豆の半量、ネギの半量、残りの豆、残りのタマネギを重ね入れ、スライスしたニンニクを載せる。具材がひたひたになるよう、豆のゆで汁を注ぐ。200℃のオーブンで20分焼く。全体混ぜ、180℃に下げて表面に漕げ色がつくまで40分ほど焼く。

 

 

Pasulj prebranac sa kobasicama(パスリ・プレブラナッツ・サ・コバシッツァマ) / ベイクドビーンズ

Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ)にソーセージを載せたPasulj prebranac sa kobasicama(パスリ・プレブラナッツ・サ・コバシッツァマ)です。豆が主役のベイクドビーンズは、クリスマスイブやイースター前の肉や卵、乳製品、油分の多い食事が禁じられいる時期のメインディッシュですが、それ以外の時期ではソーセージを載せて供されることも多くあります。タマネギとパプリカの旨味をたっぷり含んだ豆に、ソーセージの脂が絡まって、うまうま。あっという間にお客様のお腹におさまってしまうため、写真がほとんど残っていない人気メニューです。

 

材料:Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ) / ベイクドビーンズ と同様につくりオーブンから出す前にソーセージを載せて10分ほど加熱し、焼き目をつける。

※豆の缶詰を使うと時短になります。乾物を使う場合は、ゆで時間が長くなりますが大粒がお勧めです。ネギは半量を長ネギにすると味に複雑みが増します。

Grčka Musaka(グルシュカ・ムサカ) / ギリシャのムサカ

トルコが発祥のムサカ。本家、トルコではナスと挽肉の重ね焼き、セルビアでは挽き肉とジャガイモと、シンプルなレシピですが、ギリシャでは下から順番にジャガイモ、ミートソース、ナス、ミートソース、ナス、ベシャメルソースと重ねた6層構造。 肉とソースのボリュームを、さっぱりした味付けと野菜が中和してもたれません。とても手がかかりますが、時々無性に食べたくなる一皿です。

Musaka(ムサカ) / ジャガイモと挽肉の重ね焼き

セルビアのムサカは、まさに「おふくろの味」。トルコが発祥のムサカは、(おそらく)ギリシャ経由でセルビア地方に伝わったと考えられています。本家トルコでは、ナスと挽肉の重ね焼きですが、セルビアではジャガイモと挽肉を重ねるのが定番。家庭ごとにバリエーションがみられ、ナスや米を使うこともあるようです。イタリアのラザニアにも似ていますがチーズは載せず、こちらのレシピでは調味料で風味付けしたタマゴ液でとじています。

Riblja Musaka(リブリャ・ムサカ) / 魚のムサカ

Pileći đuveč(ピレチ・ジュヴェチ) / 鶏肉の土鍋焼き

トルコからバルカン半島にかけて多く用いられる素焼きの土鍋をセルビア/クロアチア語で「ジュヴェチ( đuveč)」(トルコ語はギュヴェッチ(güveç))といい、その鍋で作られる料理も同じ名前で呼ばれています。材料には鶏や豚、羊、牛、ときには魚も用いられます。

はじめて習ったセルビア料理が、この鶏肉の「ジュヴェチ」。スープをとったあとの丸鶏をむしって骨と肉に分け、その肉を野菜といっしょに炒め煮してからオーブンで焼くという調理法は目からウロコが落ち続け、この国の料理をもっと知りたいと好奇心をつのらせるに余りある経験でした。セルビア/クロアチア語の入門書『ニューエクスプレスプラス セルビア語・クロアチア語 』にの例文にも鶏肉と野菜、米を使った料理が登場します。チキンと炒めたパプリカ、タマネギの味がやさしい、初心忘るべからずの味です。

 

材料:鶏肉、タマネギ、パプリカ、トマト、パスタ、オリーブオイル、ヴェゲタ、スイートパプリカ、塩胡椒

パスタを茹でておく。鶏肉をひと口大に切る。野菜を粗みじんに切っておく。鍋に油をしきタマネギが黄金色になるまで炒める。パプリカを加えてさらに炒める。タマネギとパプリカが柔らかくなったら、鶏肉を加え、様子をみながら水分を少しづつ加えて煮込む。肉に火が通ったらトマト、調味料を加える。トマトに火が通ったらパスタを加え、さらに5分煮て土鍋に移す。200℃に予熱したオーブンで表面に焼き色がつくまで20分焼く。

※パスタはお好みのもので。麺を使う場合は短く切っておく。鶏肉は数種類の部位を混ぜ、骨付きのものも使うと出汁が出て美味しい。

Pileci Pilav(ピレチ・ピラフ)/ チキンピラフ

米はバルカン半島でも食べられますが、肉のつなぎに使われたり、時にはピラフとして食卓にのぼります。ピラフ(Pilav)もオスマン帝国発祥の料理で、"ピレチピラフ"はセルビアの日常的な家庭料理。骨付きの鶏肉で出汁をとり、長粒米をたっぷりの野菜とともに炊き込みます。そのまま「洋食メニュー」として日本の食卓に載せてもなんの違和感もない「ごはん」です。

Bakalar na brodet(バカラ・ナ・ブロデット) / タラのブロデット

タラのブロデットは、セルビアのお隣クロアチアの料理。タラと野菜、オリーブを重ねてじっくり煮込みます。蓋をして火が通るまでそっと待つ調理法は日本の鍋料理とそっくり。仕上げに加えるハチミツが、あるとないでは大違いのかくし味。

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