food&wine/料理とお酒

Salate / サラダ

Pečene Paprike(ペチェネ・パプリケ) / ローストパプリカのマリネ

ローストパプリカのマリネ「ペチェネ・パプリケ」。これぞセルビア!というひと皿です。「ペチェナ・パプリカ」とも言いますが、語尾がaで終わる場合は、単数形。eで終わるのが複数形で、料理名の場合は、どちらでもいいそうです。

セルビア料理をはじめたころは、なかなか手に入らなかったパプリカも、昨年あたりから値段も手ごろになってきたので登場回数が増えました。彩の名脇役として登場することの多く、そのものをしっかり味わうことの少ない野菜ですが、主役になると抜群の旨味を堪能できます。焼きナスの要領で焼いて皮をむき、調味料で和えて味をなじませればOK。とろりとした食感が癖になります。

材料:

パプリカ、植物油、ワンビネガー、ニンニク、塩、胡椒

Paprika sa sirom(パプリカ・サ・シロム) / パプリカのチーズ詰め

パプリカにチーズを詰めて焼くだけなのに、なんて美味しい!そのヒミツは、チーズに加えるひと手間。カッテージチーズやFetaなどの白いチーズをほぐし、卵とスパイスを加えて風味を足します。このチーズミックスは、パイやパン生地に詰めても、ほっぺが落ちる万能の具材❣️ 出来たての熱々で、冷たくしても、どちらもお勧めのひと皿です。

材料:

パプリカ、チーズ、卵、パセリ、ヴェゲタ、植物油

 

Šopska salata(ショプスカ・サラータ) / ショプ地方のサラダ

ショプスカサラータは、ブルガリア、セルビア、マケドニアにまたがる「ショプ地方のサラダ」という名前のサラダです。山がちなその地方では、山岳牧畜民が多く暮らしているため「羊飼いのサラダ」というニュアンスも含み、特徴は、角切りした野菜にシレネという、山羊や羊のチーズをたっぷりと振りかけること。

1960年代にブルガリアの旅行キャンペーンのために考案されたレシピが、バルカン半島全域に広まったということです。地域やシチュエーションにより、レシピに若干の差がみられますが、コツはおおらかに作ること。タマネギやキュウリを水にさらさない、トマトの種のまわりのぬめりを残す。野菜の持つ汁気が、ドレッシングにセルビアらしい風味を与えます

材料:

パプリカ、トマト、タマネギ、キュウリ、チーズ、植物油、レモン果汁、塩、胡椒、唐辛子

Srpska Salata(スルプスカ・サラータ) / セルビアのサラダ

"スルプスカサラータ”はパプリカ、キュウリ、トマト、タマネギを刻んでドレッシングで和えた"ショプスカ・サラータ"のシレネチーズなしバージョン。セルビア/クロアチア語で「セルビアのサラダ」という意味の名前で、トルコの「羊飼いのサラダ=チョバン・サラタス(Çoban Salatas)」とほぼ同じ料理です。

セルビアのドレッシングはヒマワリ油とワインビネガー、塩胡椒にニンニクに風味づけをするのが一般的ですが、土地や家ごとにそれぞれ違ったレシピもあり、アップルビネガーを使う場合や、お隣のクロアチアではオリーブオイルが主流です。

材料:

パプリカ、トマト、タマネギ、キュウリ、植物油、レモン果汁、塩、胡椒、唐辛子

Ruska salata(ルスカ・サラータ) / ロシア風サラダ

”ルスカ・サラータ”は、セルビア/クロアチア語で「ロシア風のサラダ」という意味の名前ですが、ロシアのよく似た料理ははオリヴィエ・サラダと呼ばれているそうです。呼び名の由来は、ロシア人=マヨネーズが大好き、というイメージからきているのでしょうか。ジャガイモとニンジンに加えて、ハムとピクルスも欠かせない具材です。

材料:

ジャガイモ、ニンジン、ハム、ピクルス、グリンピース、マヨネーズ、サワークリーム、レモン果汁

 

Francuska Salata(フランツスカ・サラータ) / フランス風サラダ

セルビアの宴席には、たっぷりの緑黄色野菜を美しく盛り合わせたポテトサラダが定番です。フランス風サラダという意味のフランツカ・サラータは、ハムが欠かせないルスカ・サラータ(ロシア風)に対し、ハム抜き胡桃入りが特徴です。リンゴを入れることもあるそうです。なぜフランス=胡桃なのかは、おそらくセルビア人がフランスに対して抱いているイメージによるものだと思われますが、調査中。なかなかその謎が解けません。

ちなみに、ルスカ・サラータの本家、ロシアでは、マヨネーズを用いるポテトサラダ(オリビエ・サラダ)は、フランス料理の影響を受けて生まれたということです。興味深いですね。

材料:

ジャガイモ、ニンジン、キュウリ、卵、グリンピース、胡桃、マヨネーズ、サワークリーム、マスタード、レモン果汁、塩、胡椒

 

Tarator Salata(タラトル・サラータ) / ヨーグルトとキュウリのサラダ

「タラトル」は、オスマン軍発祥の料理です。ヨーグルトにニンニク、キュウリなどを加えた「ジャジュク(Cacik)」のセルビア版。”タラトル”と呼ばれ、刻んだ胡桃も入ります。水気を切らずに冷たいスープとして。水気を切ってサラダ風に、どちらもさっぱりとした副菜として肉料理との相性が抜群です。

材料:

ヨーグルト、キュウリ、ニンニク、胡桃、オリーブオイル

Grčki Tzatziki(ザジキ) / ギリシャスタイルのヨーグルトとキュウリのペースト

トルコ発祥のヨーグルトにニンニク、キュウリなどを加えた前菜”ジャージュク(Cacik )”は、バルカン地域でも好んで食されます。ギリシャではザジキと呼ばれ、ディルを入れるのが特徴。ヨーグルトの水分も少なめで、それぞれの国の美妙な違いが興味深い料理です。

材料:

ヨーグルト、キュウリ、ニンニク、ディル、オリーブオイル、酢

Paradajz salata(パラダイズ・サラータ) / トマトサラダ

2015年のセルビアクッキングツアーで食事のたびに「パプリカ、パラダイス」という言葉を聞き、そうか、セルビアはパプリカがたくさん獲れるから「パプリカ天国」と自慢しているんだな、と解釈していたら大間違い。パプリカのローストとともに、行く先々で出されたこのサラダが「パラダイス・サラータ」。パラダイスはトマトを意味するセルビア語だったのです(笑)

グリーンサラダと並んで、このトマトサラダも「どうやって味をつけたの?」と尋ねられることの多い料理です。ワインヴィネガーとオリーブオイル、塩胡椒だけの簡単な味付けですが、その勘どころはおそらくトマトの種のまわりのちゅるちゅるした部分と、水にさらさない、辛いままのタマネギからくる風味でしょうか。

材料:

トマト、タマネギ、パセリ、ワインヴィネガー、オリーブオイル、塩、胡椒

Zelena salata(ゼレナ・サラータ) / グリーンサラダ

付け合わせは、なかなか来店同機にはなりませんが、実際にお食事をされると、メインディッシュよりも感激されることが、ままあります。なかでも、サラダはセルビア人に「なにこれーっ!セルビアの味がする!!どうやって再現したのー?」と質問されることが多いサイドメニュー。その秘密はドレッシング。市販のものを使わず、その都度調味料をあわせて、直前に和えています。

材料:

レタス、ラディッシュ、ワケギ、オリーブ、レモン果汁、オリーブオイル、塩、胡椒

Salata od Šargarepe(サラータ・オド・サルガレペ) / ニンジンサラダ

このサラダは「セルビアで食べた味が再現できるレシピを見つけたよ」と、友人からレシピを教えてもらったもの。ドレッシングの材料のうち、オリーブオイルオイルを加熱してテンパリングするのがポイントです。

材料:

ニンジン、ニンニク、パセリ、クミン、オリーブオイル、レモン果汁、塩、砂糖

Mimoza salata / ミモザサラダ

セルビアで人気のパーティー料理の盛り付けは、ロール系、多層系があり、断面の美しさを追求します。ミモザ・サラダは後者の多層系。マッシュポテト、マヨネーズのソース、ハム、ピクルス、ゆで玉子、チーズと重ねていき、最後にマヨネーズで蓋をして卵黄をミモザの花に見立てて飾ります。断面の美しさと層が奏でる味の変化も魅力のひとつ。毎年、春待つ時期につくりたくなるサラダです。

材料:

ジャガイモ、ハム、ピクルス、卵、チーズ、マヨネーズ、サワークリーム、ヨーグルト、パセリ、ディル

Podvarak(ポドヴァラック) / サワーキャベツの炒め煮

ポドヴァラックは、バルカン半島から中欧にかけて好まれる、千切りの発酵キャベツをスパイスで香りづけして煮込んだ料理。フランスのアルザス地方のシュークルート、ドイツのザワークラウととてもよく似ています(おそらく親戚でしょう)。付け合わせとして、キャベツのみをざくざく食べる場合もありますが、ローリエやニンニクとともにベーコンやソーセージを加えるとテーブルの主役にもなります。材料を炒めたあとにオーブンで焼き、サワーキャベツに甘みと旨味を含めますが、植物油ではなくラードを使うのがお勧め。カロリーもそのぶんリッチになりますが、相性は絶妙です。

材料:

発酵キャベツ、ード、ローリエ、ヴェゲタ、パプリカパウダー、胡椒

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