food&wine/料理とお酒

Kuvana Jela / オーブン料理など

Sarma(サルマ)/ サワーキャベツのロールキャベツ

"サルマ"はバルカン半島の冬の定番料理。セルビアでは、このロールキャベツが上手にできようになると「сада се можеш удати(これでお嫁にいけるね」」と言うそうです。

地域や家庭によりさまざまなレシピがありますが、日本の一般的なレシピとの違いは、材料にキャベツに丸ごと発酵させたキャベツ(Kiseli Kupus)を使うことと、味付けにパプリカを使うこと、肉のつなぎがパン粉ではなく米であること、ひと口サイズであることなど。セルビアのバリエーションでも、調理方法は炒める油が植物性だったり、ラードだったり。肉を生のまま包んだり、炒めてからだったり。鍋で煮るやり方、オーブンで焼くやり方、煮てから焼くやり方、などなど、手をかけようと思えばいくらでもかけられる料理ですが、今回は比較的つくりやすいものを紹介します。

キャベツは塩漬けにより水分が抜け、繊維が柔らかくなっているため下茹での必要はありません。加熱で引き出される甘みと、乳酸発酵による酸味をあわせもつキャベツが、肉と、その旨味を吸い込んで柔らかくなった米を包み込み、滋味あふれる一品です。

材料:

発酵キャベツ、タマネギ、豚肉、牛肉、米、卵、ベーコン、パプリカパウダー、ニンニク、ベイリーフ、植物油、塩、胡椒

Punjene Parprike(プニェネ・パプリケ) / パプリカの肉詰め

ピーマンの肉詰め料理は世界の多くの地域で見られますが、バルカン半島では熟したパプリカを用います。ロールキャベツのSarmaと同様に「洋食」としては、まったく興味のなかったピーマンの肉詰め。Punjene Parprike(プニェネ・パプリケ)は、「パプリカの詰め物」という意味のセルビア/クロアチア語です。「ふぅん、よくあるやつね」と高を括っていたら甘かった。調理をはじめてびっくり。味にまた驚いた料理です。まだ食べたことがない人は、食べたほうがいいですよ! まずその大きさ。パプリカは小ぶりのリンゴくらいのサイズで、ピーマンよりも大きかった。しかも縦半分ではない。種をくり抜き丸ごと一つの空洞みちみちに肉を詰め込むゴージャスさ。パプリカが柔らかくなるまで煮込み、オーブンで余分な水分を飛ばして焼き上げると、パプリカと肉から染み出した旨味を、つなぎの米が吸いこんで、うまうま。マッシュポテトを付け合わせに召し上がれ。

材料:

豚肉、牛肉、パプリカ、米、タマネギ、ニンニク、パプリカパウダー、塩、胡椒

Sogan Dolma(ソガン・ドルマ) / タマネギの肉詰め

「ドルマ」は、トルコ語で「詰める」という意味で、さまざまな野菜に挽き肉を詰めるオスマン帝国発祥の調理法です。Sogan Dolma(ソガン・ドルマ)は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの都市、モスタルの名物です。「タマネギの詰め物」という名のとおり、丸ごと茹でて柔らかくしたタマネギをくり抜き、肉を詰めて蒸し焼きにした料理です。合挽肉をパプリカで風味づけをすることの多いセルビア地方に対し、ボスニア地方では、牛挽き肉、トマト風味が多くみられ、オスマン帝国文化の影響の強さを、食の面でも感じます。

材料:

タマネギ、牛肉、米、卵、トマトペースト、パプリカパウダー、植物油、塩胡椒、レモン果汁、パセリ、サワークリーム

Mućkalica(ムチュカリッツァ) / 豚肉のパプリカ煮込み

「振り、かき混ぜ、混ぜる」という意味のムッチカティに由来するメニュー名は、意訳すれば「肉の”ごった煮”」。バーベキューの余り肉を使うことも多く、さまざまな動物の肉と部位の組み合せで複雑な味わいが生まれます。2021年2月に放映されたNHKの番組「今日、うちでなに食べる? 世界のぽっかぽか料理編」でも紹介され、いま日本で一番有名なセルビア料理です。そのレシピは、地方ごとにバリエーションがあり、セルビアンナイトでは、セルビアで一番美味しいお肉を作る町として有名なレスコヴァツ地方のものを採用しています。自家製ベーコンとかたまり肉を鍋でことこと煮込んだのち、オーブンで水分を飛ばして焼きあげます。辛口パプリカパウダーでスパイシーに仕上げた人気の定番料理です。

材料:

豚肉、ベーコン、タマネギ、パプリカ、トマト、ニンニク、カイエンペパー、ヴェゲタ、塩、胡椒、植物油、パセリ

Musaka(ムサカ) / ジャガイモと挽肉の重ね焼き

セルビアのムサカは、まさに「おふくろの味」。トルコが発祥のムサカは、(おそらく)ギリシャ経由でセルビア地方に伝わったと考えられています。本家トルコでは、ナスと挽肉の重ね焼きですが、セルビアではジャガイモと挽肉を重ねるのが定番。家庭ごとにバリエーションがみられ、ズッキーニやナス、米を使うこともあるようです。イタリアのラザニアにも似ていますがチーズは載せず、タマゴでとじています。

材料:

ジャガイモ、タマネギ、パプリカ、ニンニク、豚肉、牛肉、卵、牛乳、パセリ、ヴェゲタ、パプリカパウダー、植物油、塩、胡椒

Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ) / ベイクドビーンズ

Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ)は、旧ユーゴスラヴィア地方で農村の冬を乗り越える料理として何世代にもわたり受け継がれてきた伝統をもつひと皿です。

正教会ではクリスマスイブやイースター前に肉や卵、乳製品、油分の多い食事が禁じられており、このベイクドビーンズと魚料理がクリスマスイブの正式メニューです。

豆が主役のレシピです。タマネギとパプリカの旨味をふっくら含ませ、適度に焦げめをつけるにはコツがいります。品種はお好みですが、いまのところ大福豆がマイベストです。

材料:

いんげん豆、長ネギ、タマネギ、パプリカパウダー、植物油、ヴェゲタ、塩、胡椒

Pasulj prebranac sa kobasicama(パスリ・プレブラナッツ・サ・コバシッツァマ) / ベイクドビーンズ

Pasulj Prebranac(パスリ・プレブラナッツ)にソーセージを載せたPasulj prebranac sa kobasicama(パスリ・プレブラナッツ・サ・コバシッツァマ)です。豆が主役のベイクドビーンズは、クリスマスイブやイースター前の肉や卵、乳製品、油分の多い食事が禁じられいる時期のメインディッシュですが、それ以外の時期ではソーセージを載せて供されることも多くあります。タマネギとパプリカの旨味をたっぷり含んだ豆に、ソーセージの脂が絡まって、うまうま。あっという間にお客様のお腹におさまってしまうため、写真がほとんど残っていない人気メニューです。

材料:

いんげん豆、ソーセージ、長ネギ、タマネギ、パプリカパウダー、植物油、ヴェゲタ、塩、胡椒

Đuveč(ジュヴェチ)/ 牛肉と野菜煮込みのオーブン焼き

トルコからバルカン半島にかけて多く用いられる素焼きの土鍋をセルビア/クロアチア語で「ジュヴェチ( đuveč)」(トルコ語はギュヴェッチ(güveç))といい、その鍋で作られる料理も同じ名前で呼ばれています。じっくり煮込んだ野菜と肉を、汁気がなくなるまで土鍋ごとオーブンで焼きあげるスローフード。

使われる肉や野菜の種類は様ざまですが、写真のジュヴェチは牛肉と野菜に加え、米とグリンピース入り。パスタを入れることもあり、がっつり腹持ちのよいメニューです。

材料:

牛肉、タマネギ、トマト、ニンジン、ナス、ジャガイモ、グリンピース、米、バター、植物油、塩、胡椒

Pileći đuveč(ピレチ・ジュヴェチ) / 煮込み野菜と鶏肉の土鍋焼き

トルコからバルカン半島にかけて多く用いられる素焼きの土鍋をセルビア/クロアチア語で「ジュヴェチ( đuveč)」(トルコ語はギュヴェッチ(güveç))といい、その鍋で作られる料理も同じ名前で呼ばれています。材料には鶏や豚、羊、牛、ときには魚も用いられます。

はじめて習ったセルビア料理が、この鶏肉の「ジュヴェチ」。スープをとったあとの丸鶏をむしって骨と肉に分け、その肉を野菜といっしょに炒め煮してからオーブンで焼くという調理法は目からウロコが落ち続け、この国の料理をもっと知りたいと好奇心をつのらせるに余りある経験でした。セルビア/クロアチア語の入門書『ニューエクスプレスプラス セルビア語・クロアチア語 』にの例文にも鶏肉と野菜、米を使った料理が登場します。チキンと炒めたパプリカ、タマネギの味がやさしい、初心忘るべからずの味です。

材料:

鶏肉、タマネギ、パプリカ、トマト、パスタ、オリーブオイル、ヴェゲタ、パプリカパウダー、塩胡椒

Grčka Musaka(グルシュカ・ムサカ) / ギリシャのムサカ

トルコが発祥のムサカ。本家、トルコではナスと挽肉の重ね焼き、セルビアでは挽き肉とジャガイモと、シンプルなレシピですが、ギリシャでは下から順番にジャガイモ、ミートソース、ナス、ミートソース、ナス、ベシャメルソースと重ねた6層構造。 肉とソースのボリュームを、さっぱりした味付けと野菜が中和してもたれません。とても手がかかりますが、時々無性に食べたくなる一皿です。

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