food menu / 料理

Supe i Čorbe / スープ

Begova čorba/ 族長(ベグ)のスープ

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ベゴヴァチョルバは、ボスニアとヘルツェゴヴィナの伝統的なオクラと鶏肉のスープです。

ベグ(ベゴヴァ)は、「族長」を意味するオスマン帝国時代の地方行政官の称号であり、ふんだんに使われた肉が支配階級の贅沢を象徴しています。これにパンとサラダを加えてメインメニューとすることもできます。

日本では整腸作用と豊富なビタミンで人気のオクラは、精力剤として知られているとか。現地のオクラは日本のものよりもサイズが小さく、乾燥したものを水やレモン水で戻して使用するそうです。

 

スープの味の土台は、タマネギ、ニンジン、セロリ(現地ではセロリアックの根の部分、日本ではセロリの茎で代用)を炒めたもの。そこにメインとなる肉やローリエなどのハーブを加えて煮込み、仕上げにヨーグルトやレモン果汁を加えてさっぱり仕上げます。

文字を読んだだけではなかなか想像がつきませんよね。

レシピ通りにつくっても、果たしてこれが正解なのか?と悩むタイプの料理なので、詳細は割愛。「食べに来てね」というタイプの代表です。

Krem čorba od Celera / セロリのクリームスープ

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ポタージュといえば、ぱっと思い浮かぶ素材はじゃがいもやコーン、むらさきいも、かぼちゃ、といったところでしょうか。こちらのポタージュの主役は日本人には意外なセロリ。

セロリはセルビアのスープやソースの土台となる味と香りを担う野菜のひとつで、「だしの素」的なハーブ調味料"Vegeta"や"Zatin C"の香りにも使われています。

第二次世界大戦中から没するまで35年間大統領つとめ、旧ユーゴスラビアに最も影響を与え、大食漢で美食家でもあったチトー大統領も好んだスープということです。

 

セルビアンナイトではリクエストの多い人気メニューで、冬は温かく、夏は濃厚に仕上げて冷製としてお出ししています。

おおまかなレシピの基本はベシャメルソースと同じ。

はじめに鍋でバターを鍋で際、タマネギとセロリを一緒に炒めて香りをつけます。野菜に火が通ったら小麦粉を加え、焦げないよう気をつけながらとろみをつけます。ダマにならないよう牛乳で伸ばし、火が通ったら荒熱をとり、ブレンダーやミキサーにかけてなめらかにします。

塩胡椒で味をととのえ、お好みの濃さ水に加えてできあがり。盛り付けの際、オリーブオイルやレモンなどを垂らしてお召し上がりください。

Pasulj / ベーコンと豆のスープ

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 セルビアには"prosto kao pasulj" 「パスリのように簡単だ」という慣用句があるほど、旧ユーゴスラヴィア地域で愛されるベーコンと豆のスープです。軍隊で大量に大鍋で仕込まれる代表的な料理でもあることから「戦士のスープ」とも呼ばれるそうです。

宗教的に肉食が禁じられている時期には豆と野菜のみで。たいていはベーコンやハムなどの燻製肉とともに煮込み、プレブラナッツ(ベイクドビーンズ)と並ぶ冬の豆料理の代表です。

 

概して食材について日本人は細かく、バルカン人は大らか。

魚は「川魚」か「海魚」の指定で、日本人は「せめて赤身か白身か教えて!」となり、強力粉も薄力粉も「どちらでもいい」と言われても、我々は「どっちかに決めて!」とパニックになる(笑)

このスープの豆は「白ければ何でもいい」。でも、ブチが入っていたり、虎シマのようのも許容範囲らしい。

いろいろ試し、現在セルビアンナイトでは「手亡インゲン豆」を使用していますが、ご家庭で手軽に作るには、あらかじめ茹でてある缶詰でもいいと思います。

 

レシピ:

白い豆、ベーコン、スモークソーセージ、

ニンジン、パセリ、タマネギ、ニンニク(みじん切り)、パプリカパウダー、ローリエ、塩胡椒、植物油またはラード

 

豆を2時間以上水に漬けてもどす(乾燥豆を使う場合)。

鍋に油をひき、食べやすい大きさにした肉と野菜、ニンニクを炒め、火が通ったら豆とスパイス、調味料を加える。

たっぷりの水を加え(ここがポイント!途中でつぎ足すと味が落ちるので、たっぷりと)、2時間以上煮込む。缶詰を使う場合は時短できます。水の量も加減してくださいね。

 

Teleća čorba / 仔牛肉のシチュー

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美食の国のセルビアでは当たり前に手に入るけれど、日本では高価な食材を贅沢に使用するため、メニューに載せることを諦めていた料理のひとつがこのシチュー。

残念ながらオリジナルレシピの食材である、骨付き仔牛の首筋肉は手に入りませんでしたが、牛のステーキ用肩肉をぶつ切りにして、前日からことこと煮込み。仕上げにヨーグルトと卵で味を整えれば、思わずうなるひと皿です。

 

レシピ:

牛肩肉(ステーキ用)、植物油、バター、

タマネギ、ニンジン、セロリの茎、

ローリエ、ヨーグルト、塩胡椒、薄力粉、卵黄、パセリ

 

野菜をみじん切りにする。

植物油とバターでタマネギを透明になるまで炒める。

牛肉を水から灰汁を取りながら一時間煮る。

ニンジン、セロリ、ローリエ、炒めたタマネギを加えさらに30分煮こみ、塩胡椒で味を調える。

小さなボウルでヨーグルト、卵黄、薄力粉少々を混ぜあわせ、少量のスープでのばす。よく混ぜ合わさったらスープに流しいれてとろみがつくまで温める(←味噌汁に味噌を溶かすイメージで)。

パセリを散らし、蓋をして10分ほど蒸らしてから召し上がれ。

Riblja čorba / ドナウ川のフィッシュ・スープ

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セルビアのスープには、しゃばしゃばの”ズッパ”、具だくさんの”チョールバ”の2種類があります。このピリ辛スープはセルビア語で「魚のスープ」という意味で”チョルバ”のほう。

山国のセルビアではありますが、ヨーロッパ10か国を東西に横切るドナウ川の川幅が一番広くなる地域。毎年レシピコンテストも行われるこのメニューは、川魚料理の代表的メニューのひとつです。

使う魚の種類は「なんでもいい」けれど、「1種類だけではなくできれば3種類以上混ぜて、アラを入れたほうが美味しいよ」とのこと。とはいえ、島国の日本では手に入れられる川魚の種類は限られます。試行錯誤の結果、白身のいわゆる「高級魚」よりも青魚のほうがハーブとの相性は良いようです。その時々で手に入る青魚の出汁を生かして仕込んでいます。

レシピ:
青魚(できればアラを含み3種類以上)
タマネギ、ニンジン、ニンニク、トマト(缶詰でも可)、ローリエ、パセリ
パプリカパウダー、チリパウダー、ヴェゲタ、ワインビネガー、白ワイン、植物油

魚を丸ごと水から20分ほど茹でて出汁をとる。
水からあげた魚の身を手でほぐしとる。
野菜をみじん切りにする。
鍋に油をひき、透明になるまでタマネギを炒め、ニンジン、ニンニク、ローリエを加えてさらに炒める。
鍋に魚の出汁を加えて沸かし、トマトと白ワイン以外の調味料を加えて味をえて煮込む。
材料が柔らかくなったら、ほぐした魚の身と白ワインを加え味を調える。火を止めてパセリを散らす。

Čorba od tikvički / ズッキーニのポタージュ

Čorba od tikvički / ズッキーニのポタージュ

バルカン半島でズッキーニはとても人気の食材です。日本のサイズよりも大振りなため、中をくり抜いて詰め物をしたり、縦にうすくスライスして具を巻き込んだり、横切りにして衣をつけたフライにしたり、様々な調理法で食卓にのぼります。

ナスと同じように使われますが、現地ではナスよりも出番が多いそう。

こちらのズッキーニのスープは、夏にお勧めのさっぱりとした味わい。皮をむくと白く、皮を残すとグリーンに仕上がります。仕上げたい色と味のバランスで、材料のニンジンとともに加減してみてくださいね。

 

レシピ:

ズッキーニ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、生姜、ヴェゲタ、バター、塩胡椒

クリームチーズ、パセリ、オリーブオイル

 

材料をみじん切りにする。

バターでタマネギを鍋で炒め、野菜と水、ヴェゲタを加えて20分ほど煮込む。

ブレンダーでなめらかにする。塩胡椒で味を調える。

器に盛り、クリームチーズを載せ、パセリとオリーブオイルを散らして召し上がれ。

Gulaš / グラーシュ

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Goulash(グーラーシュ、またはグーヤーシュ)はハンガリーが発祥の肉と野菜をパプリカ風味で煮込んだ料理です。

 

その歴史は牛飼い料理として9世紀まで遡り、現在では中央ヨーロッパを中心に他の地域でも広く好まれています。

 

地域ごとにバリエーションを持ちセルビアではハンガリーに近い北部ヴォイヴォディナを中心に、牛や仔牛、豚また猪などの肉と野菜を半々の量で煮込み、パプリカとハーブで味付けで調理するのが主流です。ときにはトマトなどを隠し味に、甘めにすることもあるようです。

 

旧ユーゴスラヴィア全域で食され、戦火のセルビアを、食をめぐるエピソードの聞き書きでつづった山崎佳代子著『パンと野いちご』内でもたびたび登場し、ボスニア出身の元日本代表監督オシム氏の得意料理でもあるそうです。

 

セルビアンナイトでは、牛肉のスジや赤身など、いくつかの部位を交えてじっくり煮込んでお出ししています。

 

レシピ:

牛肉、タマネギ、セロリの茎、トマト、ニンニク(みじん切り)、スイートパプリカ、ローリエ、タイム、植物油、塩胡椒

 

野菜を食べやすい大きさに切る。

鍋に油をひき、タマネギを茶色くなるまで炒める。ニンニクを加えて軽く炒め、水を加えて煮込む。

牛肉、セロリ、ローリエ、パプリカパウダー、塩胡椒を加え、弱火で2時間以上煮込む。

火を止める前に刻んだトマトを加えて軽く煮込む。

 

※写真は2時間ほど経過したときのもの。加熱時間が長ければ長いほど材料が煮溶けて美味しくなる。

Pileći paprikaš sa noklicama / セモリナ団子入り鶏肉シチュー

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 Pileći paprikaš sa noklicama (ピレチ・パプリカシュ・サ・ノクリカマ)は、ハンガリー発祥で、セルビアでは北部ボイボディナ地方で好まれています。骨付き(←ここ大事!)の鶏肉を、たっぷりの野菜とともに煮込み、骨からにじみでる出汁と野菜の旨みをゆっくり引き出しす滋味あふれるシチューです。

セモリナ粉でつくるノクリツェという団子が入り、秋田の「きりたんぽ」や「だまこもち」のような鍋物感も漂います。珍しいけど、懐かしくもある。遠いセルビアに親しみを感じる料理のひとつ。

 

レシピ:

手羽元、鶏もも肉、タマネギ、ニンジン、セロリの茎、パプリカ、ジャガイモ、トマトピューレ、ローリエ、ヴェゲタ、パプリカパウダー、塩胡椒、植物油、パセリ

薄力粉、セモリナ粉、卵、塩

 

野菜、鶏もも肉をひと口大に切る

鍋に油をひき、タマネギを炒め、ニンジン、セロリ、パプリカ、ローリエも加えてさらに炒める。

鶏肉も加え、肉の表面に白く通ったらジャガイモ、ヴェゲタを加えて炒め、ひたひたに水を注ぎ、蓋をして煮込む。

その間に団子生地をつくる。

溶き卵に粉と塩をひとつまみ加え、ヤマトイモくらいの粘り気にする。

野菜が柔らかくなったら、スープにトマトピューレを溶き、団子の生地をスプーンですくいながら浮かべる。

団子がすこし膨らみながら固まって浮かんでくればできあがり。

器に盛り、パセリを散らして召し上がれ。

 

Sladak kupus sa mesom / 豚肉とキャベツの煮込み

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Sladak kupus sa mesom(スラダック・クプス・サ・メソム)は、直訳すると「甘いキャベツと肉の煮込み」。んっ?甘いキャベツ?って気になりますよね。味付けに砂糖を使うわけではありません。

おそらく、ですが、塩漬け発酵させたキャベツを使うSvadvarski Kupus(スバドヴァルスキ・クプス)に対して、生のキャベツ≒甘いキャベツ、という意味での命名なのではと推察しています。

つくり方もスバドヴァルスキ・クプスと同じように、豚かたまり肉とベーコンと野菜をことこと煮込んで、じっくり味を引き出します。ボリュームがあるので、パンとあわせてメイン料理にもすることも可能なひと皿。時間が料理を美味しくしてる、まさにセルビアらしい煮込みです。

 

レシピ:

キャベツ、タマネギ、ニンジン、セロリの茎、豚肩肉、ベーコン(塊のもの)、塩胡椒、トマトジュース、トマトピューレ、パプリカパウダー、チリパウダー、イタリアンパセリ

タマネギをみじん切りにんする。残りの野菜、肉、ベーコンをひと口大に切る。鍋にキャベツの1/3量と肉の半量、タマネギを重ね入れる。キャベツ、肉、タマネギを同じように重ね、残りのキャベツで蓋をする。塩を加えてひたひたに水を注ぎ、火にかける。沸騰したら弱火にして45-60分煮込む。トマトジュース200mlと、トマトピューレ少々とスパイスを加え、さらに10分以上煮込む。皿に盛り、イタリアンパセリを散らして召し上がれ。

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