food&wine/料理とお酒
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Hleb / パン
Slavski kolač(スラヴスキ・コラチ) / 守護聖人の日の祝いパン

セルビアでは各街や家庭やごとに父系で受け継がれる守護聖人を持ち、正教徒はその記念日を祝います。ユネスコ無形文化遺産にも登録され、12月19日の聖二コラウス、5月6日の聖ゲオルギオス、1月20日の洗礼者ヨハネ、1月27日の聖サヴァなどが多く祝われているそうです。
教会での儀式のために焼かれる”スラヴスキ・コラチ”はキセルビア語でスラヴァケーキを意味し、神にささげる犠牲の象徴。
キリストのシンボルである十字と聖人に関係のあるシンボル(ハトやバラ、本など)を飾るのが常です。
食卓には聖人のイコン、スラヴスキコラチが並び、主の象徴であるロウソクの灯りがコリヴォまたはジト(žito)と呼ばれる小麦のペーストに立てられます。
どことなく日本のお盆に通じるものを感じませんか?
わたしは日本人で守護聖人を持たないため、セルビアの修道院で記念にいただいたイコンを飾ります。
Pogača(ポガチャ) / 竈(かまど)パン

"ポガチャ"はセルビア語で「丸いパン」という意味を持つ伝統的なパンでお祭りや伝統行事には欠かせない料理です。
なかでもSlavski kolač (スラヴスキコラチ)は、クリスマス、イースターと並ぶ重要行事の「スラヴァ(守護聖人の祝日)」のための宗教色の強いもの。
結婚式でもポガチャは焼かれ、一家の繁栄の象徴として花嫁が抱え、参列者が新郎新婦にライスシャワーならぬ塩のシャワーをふりまきます。
調べていると基本は直径30cmほどの円形ですが、それぞれに象徴的な意味をもつモチーフで飾られた様々な形のポガチャが見られ、興味がつきぬテーマのひとつです。
Božićna Česnica(ボヅィツィナ・チェスニッツア) / クリスマスのパン

セルビア正教会では、ローマ皇帝カエサルにより紀元前45年に定められたユリウス暦に則り祝日を祝います。1年のはじまりはグレゴリオ暦より2週間遅れの1月14日。クリスマスはセルビア語でBožić(ボジッチ)といい、1月7日がその日にあたります。前日の6日は祝いの準備が行われ、この日まで肉、卵、乳製品が禁じられた禊の期間です。
クリスマス当日には豚の丸焼きなどのご馳走を用意し、早朝の夜明け前に特別に焼いたČesnica(チェスニッツア)というパンに、教会で祝福を受けます。チェスニッツァは、クリスマスの最も重要なシンボルの1つであり、「共有」を意味する古い単語「čest」にちなんでその名前が付けられました。地域ごとに異なるレシピがあり、幸福と健康のさまざまなシンボル、またはキリストのモノグラムで飾られています。帰宅後、テーブルを囲んだ家族や親族でチェスニッツァに手を差し伸べてつかみ、三周回したのち一斉に引きちぎって中に焼き込んだコインを誰が引き当てるかで一年の幸運を占います。
Lepinja(レピニャ) / セルビアのピタパン

”レピニャ”は粉と牛乳、水にイースト、塩胡椒を加えてつくるシンプルなパン。日本でいえば白米のようなもの。
これが美味しくて、現地ではついつい食べ過ぎてしまうのですがサイズもかなりのもの。ちょっとしたクッションか、飛行機の枕くらい(笑)
おおらかなり、バルカンサイズ。
Google検索すると日本語でも英語でもピタパンがヒット。こちらは中東由来でアラビア、レバノン、シリアあたりから来たらしく。インドやパキスタンのナンにも言及もありました。
ナンかー。生地を伸ばしながら、チャパティーのつくり方に似ていると感じていたのは、あながち間違いでもないようで。
バルカンは文化の交差点だと改めて感じた仕込み作業。
これを食べ慣れると、以前は大好きだったバターや卵がたっぷり入ったリッチなパンが重く感じられ、私の中ではたまに食べるごちそう的な位置づけになりました。
レシピ:
強力粉350g、ライ麦粉50g、ドライイースト8g、牛乳100ml、砂糖大さじ1/2、塩大さじ1/2、ぬるま湯200ml
材料をすべてボウルに入れ、粘つかなくなるまで片手でまとめます。(渾身の力をしぼって両手で叩きつけたり、のばしたりしないでok)
ラップをして倍に膨らむまで1次発酵。
打ち粉をした台で、生地をバルカンサイズの場合は4等分、日本人むけには8等分に丸めます。
平らにしたい場合はフォークで穴をあけ、写真のように膨らませたい場合は、そのまま円形に伸ばします。
オーブンが250℃になるまでラップをして二次発酵。オーブンが温まったら9分加熱。
※ある程度量があったほうが粉の重さで捏ねやすいです。食べきれない場合は冷凍も可能です。
Proja(プロヤ) / コーンブレッド

日本では米が育たない地域でそば粉を栽培していたように、セルビアでは小麦の代用としてトウモロコシを育て、コーンブレッドは貧しい人の食べものとされていたそうです。
それもいまは昔。"プロヤ"と呼ばれるコーンブレッドは、現在では特別な友人に配るものと位置づけられる、セルビアの代表的な郷土料理です。
2018年1月に安倍首相がセルビアを初訪問した際の晩餐会でもメニューに供されたという逸話も。
形からは甘いお菓子を想像しますが、とうもろこしの粉と強力粉、卵、牛乳と植物油にチーズ入りのしっかり塩味。お酒にもあうね、と必ず言われる人気者です。
レシピ:
Fetaチーズ150g、卵3個、牛乳320ml、植物油240ml、強力粉140g、コーンフラワー180g、ベーキングパウダー大さじ1
粉類をあわせてふるう。
卵を卵黄と卵白に分け、卵白を角が立つまで泡立てる。
別のボウルに卵黄を入れ、Fetaチーズをほぐしながら混ぜる。(すこしチーズの塊が残っていたほうが美味しい)
卵黄のボウルに油と牛乳、粉をかき混ぜながら加えて「たね」をつくる。
均等に混ざったら「たね」と卵白の泡をつぶさぬよう、さっくりあわせる。
オーブンを220℃に余熱する。マフィン型に紙製のカップを入れ、たねを8分目まで流しいれる。様子をみながら20分程度焼く。
※レシピの油の分量にビビりますが、少ないとパサパサになるので、守ってね。
Kiflice(キフリツェ) / プチロール

キフリツェというセルビアのひと口サイズのパン。
ミニクロワッサンとよく似た見た目とサイズですが、ヨーグルト、サワークリーム、植物油でさっくりとした食感。
セルビアンナイトでは、黒ゴマはベーコン入り、白ごまはカッテージチーズ入りが定番。小さいけれど食べごたえのあるスナックです。
レシピ(16個分):
薄力粉275g、ドライイースト5g、牛乳100ml、砂糖小さじ1/2、塩大さじ1/2、ベーキングパウダー小さじ1/2、ヨーグルト50g、サワークリーム20g、植物油50ml、
溶き卵、バター、粗塩、ゴマ適量、具はチーズやベーコンなど、お好みで
生地の材料をあわせてひとまとまりになるまで捏ねる。ラップをして10分以上一時発酵する。打ち粉をした台で生地を16等分する。
それぞれの生地をしずく型に伸ばし、円形の底面側にチーズやベーコンなどの具をのせて、尖った先端に向けて巻き込んでいく。
オーブンシートを敷いた天板にすべてのロールを並べ、溶き卵を塗り、乾く前に粗塩とゴマを振り、バターのかけらを載せる。
ラップをしてオーブンが180℃になるまで二次発酵。温まったら、焼き色がつくまで20-25分焼く。
Eliopsomo(エィオプソーモ) / 修道院のオリーブ入りパン

ギリシャ北部のアトス山はエーゲ海に突き出した半島にそびえる東方正教会の聖地。女人禁制で修道士たちが自給自足の生活で祈りを捧げています。
このレシピはアトス山の修道院で実際に使われているそうです。
世俗的な生活を営む我々にとっては、オリーブとパプリカの風味がワインやラキヤとの相性がぴったりのパン。
Uštipci(ウシュチプツィ) / リカ地方のドーナッツ

クロアチアに旅行中、どこへ行っても出てくるこのドーナツが、はずれなく美味しくて、レシピを知りたいと考えていましたが、Bravo!
『イェレナと学ぶセルビア料理』に掲載されていました。
ニコラ・テスラの出身地である、クロアチア内のセルビア人居住区リカ地方のメニューです。
味の秘密は風味づけに使うラキヤとレモン。スイーツ好きだけでなく、ラキヤが好きな方にはぜひ試していただきたいドーナツです。
Pogacice(ポガチッツェ) / スコーン

セルビアのスコーンは、強力粉とバター、